意識医学®の世界観 ― 三つの原理と、ひとつの向き

世界観

これは、科学の話ではありません。ものの見方の話です。

東洋医学に陰陽五行があるように、
意識医学®にも、人を観るための枠組みがあります。

陰陽五行は、生化学の理論ではありません。二千年のあいだ、無数の身体を観てきた人たちが積み上げた「ものの見方」です。検査で測れるものではない。それでも、これがあるから鍼灸師は目の前の人をどう観るかを共有でき、教え、受け継ぐことができます。意識医学®の世界観も、同じ性質のものです。

このページに書くことは、証明された事実ではありません。証明された事実のほうは、科学的な説明のページに、根拠の強さまで含めて分けて書いています。混ぜないことが、両方を大切にする唯一の方法だと考えています。

世界観がなければ、技術はばらばらの手技の寄せ集めになります。科学がなければ、世界観は検証できない物語になります。二枚の地図を、二枚のまま持ちます。

第一の原理 対

二つの柱。

人の中には、二つの柱が立っています。

暗黒の柱は、これまでに積み重なってきたものです。痛み、恐れ、思い出したくない記憶、「またこうなるに違いない」という予感。長い時間をかけて太くなり、その人の身体の使い方や、人との距離の取り方を決めています。

純白の柱は、これから育てていくものです。安心、心地よさ、「そうか、大丈夫かもしれない」という感覚。最初はごく細い。けれど、確かに立ちます。

意識医学®がしないことが、ひとつあります。暗黒の柱を、壊そうとしないことです。

それはその人が生きてきた時間そのものであり、無理に倒せば人は倒れます。だから横に置いたまま、隣に新しい柱を育てます。純白の柱が太くなるにつれて、暗黒の柱は相対的に細く見えるようになる。消えたのではありません。その人の中で、占める場所が変わったのです。

陰陽が「どちらかを消す」思想ではなく「傾きを観る」思想であるように、二つの柱も、善悪ではありません。暗黒の柱は、その人を守ってきたものでもあります。痛みは危険を知らせる働きであり、恐れは身を退く力です。それが強すぎるまま固まってしまったときに、苦しみになります。

第二の原理 層

五つの層。

人は、五つの層が重なってできています。身体、脳神経、潜在意識、関係性、意識体。

この五つは、順番ではありません。下から積み上がっているのでもない。同時に、ひとつのこととして起きています。肩がこわばっているとき、そこには筋肉のこわばりがあり、危険を予測している神経があり、言えなかった思いがあり、言えない相手がいて、そういう生き方をしてきた時間があります。どれかが原因で、どれかが結果、ではありません。

五行が「どの臓が弱ると、どこに現れるか」の関係の網であるように、五層も関係の網です。ちがいは、意識医学®の網には「関係性」という層が入っていることです。人は、ひとりで治りません。誰といるか、誰に何を言えないでいるかは、身体の状態そのものです。

「意識体」について。これは宗教でいう霊魂ではありません。身体感覚・感情の記憶・潜在意識・関係性・生きる意味が重なってできた「意識のまとまり」を指します。目には見えず、検査でも測れませんが、その人が何を選び、何を語るかを通してあらわれます。科学的な説明のページでは、この層を「実存的な意味づけ」として扱っています。

第三の原理 つながり

もとはひとつだったから、すべてはつながっている。

この原理は、理屈から生まれたものではありません。治療院の現場で、患者さんのほうから教わったものです。

何も考えずに首に手を当てていると、「先生、足先がジンジンするんです」「お腹のあたりが熱くなるんです」と言われる。触れているのは首なのに、遠く離れたところが動く。そういうことが、何度も起こりました。

こうした反応そのものは、神経のつながりや筋膜の連続性から説明できる部分があります。不思議な現象だと言いたいのではありません。ただ、それを毎日目の前で見ていた者として、受け取った感覚があります。身体は、部品の寄せ集めではない。どこかに触れれば、どこかが動く。ならば身体と心も、自分と他人も、人と自然も、切り分けられるものではないのではないか。

ここから先は、証明ではなく見方の選択です。同じ体験から「筋膜がつながっているだけだ」と考えることもできます。意識医学®は、そうは考えなかった——というだけのことです。

この順番が大切だと考えています。もとはひとつだったから、すべてはつながっている。結論だけを先に置くと、ただの標語になります。理由から入るから、腑に落ちる。

意識医学®のクレド(私たちが最上位に置いている7つの信条)は、その前文をこう始めています。

私たちは、”すべてはひとつ”の宇宙の真理とともに、
自分の意識を成長させて、世界を変えていきます。

「もとはひとつ」は、この「すべてはひとつ」に至るための、由来の言葉です。二つは別々の原理ではなく、理由と結論の関係にあります。

ここで、はっきりさせておきます。「もとはひとつ」を、量子力学や宇宙物理学が証明した、とは言いません。物理学が示すのは「世界は孤立した部品の集まりではなく、関係の中で成り立っている」という構造であって、それは心のつながりや治癒を証明したものではありません。物理の話と、生き方の話は、別のものです。似ていることを面白いと思うのはよいことですが、片方をもう片方の証明に使うことは、意識医学®の表現ルールで禁じています。

ひとつの向き

円ではなく、螺旋。

ここが、意識医学®が東洋医学から受け取り、そして一歩だけ離れたところです。

円環と螺旋の対比左は東洋医学の均衡モデルを表す閉じた円。乱れても元の位置に戻る。右は意識医学の成長モデルを表す上へ向かう螺旋。同じ位置を通るが、通るたびに少し上にいる。もとの位置均衡を取り戻す円環 ― 戻るはじまり同じ場所。ただし、少し上螺旋 ― 通って、変わる
東洋医学が「乱れた均衡を、もとに戻す」円環の思想だとすれば、意識医学®は「同じところを通りながら、少しずつ上がっていく」螺旋の思想です。

東洋医学は、崩れた均衡を整えます。元の状態に戻すことが、回復です。これは非常に洗練された考え方で、意識医学®もその上に立っています。

ただ、臨床で何十年も人を観ていると、「元に戻らなかった人」に何度も出会います。同じ症状がまた出る。同じ人間関係でまたつまずく。同じところを、何度も通る。

そのとき、こう考えることもできます。戻っているのではなく、通っているのだ、と。

同じ場所に見えても、二度目に通るときのその人は、一度目のその人ではありません。何が起きているか、少しわかっている。前より早く気づける。誰かに言えるようになっている。円ではなく、螺旋です。元に戻すのではなく、その経験を通って、その人が変わっていく。これを、意識医学®では意識の成長と呼びます。

だから意識医学®は、症状が消えることだけを目標にしません。症状は大切な入口ですが、出口ではありません。「その人が、その人らしく生きられるようになったか」を見ます。これは検査で測れない目標であり、だからこそ、押しつけてはならない目標でもあります。どこへ向かうかを決めるのは、いつでも本人です。

全体像

東洋医学と、どこが同じで、どこが違うのか。

役割 東洋医学 意識医学® ちがい
対の原理 陰陽 二つの柱(暗黒/純白) どちらも善悪ではない。意識医学®は「消す」のではなく「隣に育てる」
層と関係 五行・五臓 五層(身体・脳神経・潜在意識・関係性・意識体) 意識医学®は「関係性」を層として立てる
つながり 気・経絡 もとはひとつ → すべてはひとつ どちらも実体としてではなく、関係として観る。意識医学®は「由来(もとはひとつ)」から「結論(すべてはひとつ)」の順で語る
向き 円環(均衡へ戻る) 螺旋(通って、成長する) ここが最も大きなちがい
到達点 証を整え、不調の前の状態へ 症状の先にある「その人らしい生き方」 意識医学®は症状の消失を出口としない

この表について、正直に断っておきます。これは意識医学®の位置を示すための整理であって、東洋医学の側を単純化しています。東洋医学にも養生という本人自身の実践があり、施術者に任せきりの体系ではありません。『黄帝内経』は本人の生き方と季節・環境との調和を説いています。二千年の体系を一行で言い表せるはずがありません。ここでの対比は「意識医学®が何を足そうとしたのか」を説明するためのものだとお読みください。

意識医学®は、東洋医学を否定して生まれたものではありません。代表理事は鍼師・きゅう師の国家資格を持ち、東洋医学の四診を土台にしています。その上に、「関係性」と「向き」という二つを足したもの——それが、いちばん正確な説明です。

歯止め

世界観を持つことは、危険でもあります。

深い世界観は、人を支えもしますが、閉じ込めもします。だから意識医学®は、自分自身に歯止めをかけています。

  • 創設者を、崇めない。意識医学®は図師修の私物ではありません。手法は公開し、誰もが学び、検証できるようにします
  • 「わからない」を、認める。説明できないことを、説明できたことにしません
  • 医療を、否定しない。必要な医療は必要です。並んで支えます
  • 「あなたのせいだ」と、言わない。病を本人の心の問題に還元することを、明確に禁じています
  • 許しを、強いない。許しは意識医学®の中核ですが、許せない状態にある人を追い詰める道具にしてはなりません
  • 批判を、閉じない。外からの疑問を受ける窓口を開いたままにします

これらは理想ではなく、制度として書き残しているものです。人は変わり、組織は緩みます。だから仕組みのほうに書いておきます。

実際の窓口です。認定のしくみ・運営体制・連絡先は機構についてに公開しています。講座がどのように生まれたかは講座の系譜で、誰と誰が作ったかまで記録しています。科学的な根拠の強さは科学的な説明で3段階に分けて開示しています。ご意見・ご指摘は機構の連絡先までお寄せください。

二枚の地図

世界観と、科学。どちらも手放しません。

このページに書いたことは、検証された事実ではありません。
検証された事実のほうは、根拠の強さまで含めて、別のページに分けて書いています。

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※ 意識療法士®は当機構が認定する民間資格であり、国家資格ではありません。認定サロンでの施術は医療行為ではなく、診断や治療を行うものでもありません。

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